新規事業研究会月例会講演要旨

(平成23年)
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    • 講演:『高分子を基盤とした多機能光学フィルムの創生−フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の開発』
               東京工業大学大学院 有機・高分子物質専攻 教授
      渡辺 順次 氏
       
    • 講演日:平成23年1月22日(土)於て 東工大(大岡山) 蔵前会館

    • 【講演要旨】
       現在研究代表者として進めているJST戦略的イノベーション研究(平成21年−平成30年:総額10億円)に関してお話します。本研究は、総括課題「フォトにクスポリマーによる先進情報通信技術の開発:総予算50億円」の中の重要な一課題である「高分子ナノ配向制御」を中心に進めるものであります。
      従来の光学材料の創生は、無機物質単結晶の精密加工やホトレジスト、エッチング、スパッタリングなどトップダウン方式による精緻で、複雑な技術にたよっていたが、本研究は、安価な高分子だけを用い、ソフトマテリアル場による自発的ナノ構造創生、自発的配向制御能を利用して、大容量で歩留まり高く、高性能な製品を創生する技術開発をしようとするものであります。温度による物性変化、光による劣化など、無機物質系よりも劣る性能があるとしても、様々な特性を自在に操作でき、大面積で提供しえるポリマーフォトニクス材料の創生は魅力あふれたものであります。具体的には、適切な分子設計で、適切な場、すなわち液晶、コロイド、ゲル、無機・有機・金属複合体などの自発的なナノ高次構造形成能力を用いて、様々な光機能を有する光学フィルムを、溶液塗布、メルト圧延法などの単純プロセッシングにより、大面積で、歩留まり高く実現することをめざします。光デバイスに要する偏光制御素子や回折格子等の光学素子、大面積の面発光レーザ、ファイバーシステムに組込み容易なポリマーフォトニック結晶、光導波路などの要素技術等の開発を行うとともに、レーザ発振型液晶ディスプレイなどの最終製品を視野に入れています。
      これらの研究ビジョンの紹介と、この2年ほどの期間で進めてきた関連研究の内容に関してお話します。

     

    • 【略歴】
      渡辺 順次

                学歴
      昭和42年3月  愛媛県立今治西高校 卒業
      昭和42年4月  東京工業大学 理工学部 入学
      昭和46年3月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 卒業    
      昭和46年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 修士課程
                高分子工学科専攻 入学
      昭和48年3月  同 修了
      昭和48年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 博士課程
                高分子工学科専攻 入学
      昭和51年3月  同 修了

                履歴
      昭和51年4月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 助手
      昭和56年7月ー57年10月 米国デューク大学博士研究員
      昭和59年8月ー59年10月 同上Visiting Associate
      昭和62年10月 東京工業大学 工学部 高分子工学科 助教授
      平成4年10月ー平成7年4月 京都大学 化学研究所 客員助教授
                     および教授併任 
      平成5年10月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 教授
      平成14年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 
      有機・高分子物質専攻 教授 (改組による)
               現在に至る

      専門分野
       1 生体高分子の構造・物性
          生体高分子のコンフォメーション
          生体高分子の相転移挙動
          生体組織構造の解明とその機能
       
       2 液晶高分子の構造・物性
          液晶構造に及ぼす高分子効果
          高分子特性を利用した強誘電,反強誘電液晶の分子設計  
          液晶場を利用した光学材料及び構造材料の設計
          液晶の対称性の制御と機能化


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    • 講演:『レアメタルをめぐる最近の状況』
              東京工業大学国際高分子基礎研究センター 特任教授
      光川 寛 氏
       
    • 講演日:平成23年2月19日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
       新興国等における自動車利用の拡大にともなう環境対策に必要な白金系貴金属需要の増大、ハイテクを支える高性能電池に必要なリチウム需要の増大、さらには中国による稀土類(レアアース)の輸出制限など、レアメタルをめぐる状況は急速に緊迫している。
       これらレアメタルをめぐる最近の状況、その背景について紹介すると共に、今後の方向として、輸入市場の多角化等海外資源確保の推進、代替材料等の開発、省資源利用対策、リサイクルの促進、備蓄の確保等への、我が国の取り組み状況についても紹介する。

    • 【略歴】
       光川寛(みつかわひろし)

      1944年、東京都で生まれる。
      1967年、秋田大学を卒業し、通産省に入省。
      その後、金属、石炭、石油等の資源行政、産業保安、環境行政、技術開発行政等を経て、1996年7月技術総括審議官で退官。
      1996年8月よりNEDO技術開発機構理事、副理事長、特別顧問を経て、2009年12月NEDO技術開発機構を退任。
      2010年より、東京工業大学国際高分子基礎研究センター特任教授。

       

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    • 講演:『人工酵素のライフ・イノベーション分野への応用』
              信州大学 名誉教授・特任教授
      白井 汪芳 氏
       
    • 講演日:平成23年2月19日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
         21世紀の科学技術開発において「健康」、「安全・安心」、「快適」が重要なキーワードとなっている。現政府も新成長戦略の中に「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」を掲げ健康・福祉などヘルスケア関係のモノづくり・サービス産業が新成長分野として期待している。
       演者は生物に備わる一連の分子状酸素と酸化酵素系による自己防衛システムに学ぶ人工酸化酵素を開発しこれを用い各種高分子・繊維に加工した消臭、痒み鎮静・消炎、殺菌・ウィルスなどの機能をもつ色々なヘルスケア分野の商品を長年にわたって開発してきた。ここではこれらの商品開発について紹介する。


    • 【略歴】
      白井 汪芳(しらい ひろふさ)

      1966年、信州大学大学院繊維学研究科(修士課程)修了、同年信州大学助手(繊維学部)1985年、 信州大学教授(繊維学部)、1996〜2004年 繊維学部長、2005〜2009年国立大学法人信州大学理事(研究・産学官連携・地域連携担当、産学官連携推進本部長)、2009年〜学校法人佐久学園常任理事(兼)信州短期大学長、1998~2002年文部省科学研究費COE形成基礎研究費「先進繊維技術科学研究拠点」リーダー、2002〜2007年文部科学省21COEプログラム「先進ファイバー工学研究教育拠点」リーダー、2002〜2004年(社)繊維学会長、2003年~叶M州TLO取締役会長、専門は高分子錯体、バイオミメティクス、機能高分子・繊維、繊維学会賞、日本化学会化学技術賞、高分子学会高分子科学功績賞、第8回産学官連携功労者表彰文部科学大臣賞,長野県知事表彰(産業功労)などを受賞、主な著書に「人工酵素の夢を追う」(米田出版・産業図書)、ファイバー工学(丸善)、生体と金属イオン(学会出版センター)など

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    • 講演:『リチウムイオン電池の市場競争』
              立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 教授
      大久保 隆弘 氏
       
    • 講演日:平成23年3月19日(土)於て 東工大(大岡山) 蔵前会館

    • 【講演要旨】
        リチウムイオン電池の市場競争が激しさを増している。国内企業と韓国、中国、アメリカの企業の参入意欲が旺盛である。半導体、液晶などの電子部品でことごとく他国企業に市場を奪われている日本企業にとっては、同様の敗北パターンへを辿っているともいえる。技術的な競争優位を市場で確固たる競争力にできないのは、日本企業の経営戦略に誤りがある。過当競争、製品ライフサイクルにおける戦略転換、投資のタイミングと資本力、グローバルなマーケティング力、政府の支援の乏しさなどが敗因であり、またグローバルな製造業のビジネスモデルの変化に、産業界が対応できていないのが大きな問題となっている。電気自動車やスマートグリッドの普及で一挙に市場拡大が予想される二次電池において、過去の過ちを繰 り返さないためには、戦略とビジネスモデルに大胆な変化を加えて、競争に臨む必要がある。


    • 【略歴】
       大久保 隆弘

      1954年11月、兵庫県生、早稲田大学教育学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了、中外製薬株式会社経営企画室、経営コンサルタント等を経て、2005年山口大学大学院技術経営研究科教授、2008年より現職。専攻は経営戦略、技術経営。
      主な著書に、「電池覇権」(東洋経済新報社,2010)、『「エンジンのないクルマ」が変える世界』(日本経済新聞出版社、2009)、「最強のジャパンモデル」(共著、ダイヤモンド社、2001)、「シャープのストック型経営」(共著、ダイヤモンド社,2004)、「ケースブック入門」(共編著、慶應義塾大学出版会、2007)、「経済学が面白いほどわかる本」(中経出版、2003)、「MOTシリーズ企業化戦略」(オーム社,共著2007)など多数。 2010.10月より、経産省「次世代自動車産業への地域産業対応検討委員会」委員。


       

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    • 講演:『世界の水問題解決に貢献する日本の膜技術と日本の役割』
              東レ株式会社 フェロー
      栗原 優 氏
       
    • 講演日:平成23年3月19日(土)於て 東工大(大岡山)蔵前会館

    • 【講演要旨】
         2007年1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム及びパリで開催された「IPCC」(気候変動に関する政府間パネル)が契機となり、水問題は、炭酸ガス問題と同列に扱うべき世界的課題であると認識されるようになった。
      我が国においては、たとえば海水・かん水の淡水化や下水再利用に使用される逆浸透膜(RO膜)は、世界の水不足地域において大量に使われるようになってきたことから、民間レベルでは、水問題の現状を肌で実感していた。
       しかしながら、水ビジネスの現状はと言えば、欧州の水メジャーが公共事業に替わって世界規模で民営化を推進してきたことから、その他の国においても、国策として民間企業の支援を行うところが増えてきた。このため我が国においても、ようやく水ビジネスを国策として本格的に支援するようになってきた。
      我が国は、技術立国であることから水環境分野でも高い技術を持っていると言われているが、日本の存在感は欧米に較べ弱いと言わざるを得ない。
       それは、なぜか?
       それは、日本市場が、ガラパゴスのように世界から孤立した独自の市場であったためと言わざるを得ないのではないか?
       世界市場に目を向け、世界市場が欲する製品を、研究・開発する必要がある。
      日本の技術立国の精神、受け継いできた伝統、文化、国民性を大事にしつつ、世界の水問題解決に向けた日本の役割は大きい。技術を持ち腐れしてはならない。
      産・官・学・政が一体となって、世界の水問題解決に立ち向かうことが、真に国際貢献に繋がり、それが日本の国益に還元される。


    • 【略歴】
      栗原 優

      学  歴
      1963年 3月 群馬大学工学部応用化学科卒
      1970年 9月  工学博士(東京大学)
      1970年 10月  米国 IOWA大学 J.K.Stille教授のもとで博士研究員留学

      職  歴
      1963年 4月  東洋レーヨン株式会社(現 東レ)入社
      1991年 6月  高分子研究所長兼地球環境研究室長
      1992年 6月 リサーチフェロー
      1997年 7月  理事 研究本部(機能膜)担当 ケミカル研究所長
      2002年 7月 常任理事 水処理事業本部(技術渉外)・技術センター(水処理
             技術開発センター)・研究本部(水処理)担当
      2002年〜2005年 京都大学工学研究科非常勤講師
      2003年 内閣府科学技術政策:環境対応ナノ技術ワーキングメンバー
      2003年 7月  専任理事 水処理事業本部(技術渉外)・技術センター(水処理
             技術開発センター)・研究本部(水処理)担当
      2004年〜2006年 重点産業競争力委員会(COCJ)「水環境圏」部会座長
      2006年 天津工業大学、上海交通大学非常勤教授 
      2006年 6月   専任理事退任、 顧問:技術センター 水処理・環境事業本部
      2006年 12月   内閣府「イノベーション25」専門家パネル「水」委員
       2007年〜2008年 経団連:重点産業競争力懇談会(COCN)委員
       2008年〜2009年 海外水循環システム協議会(GWRA)諮問委員会委員長
       2009年〜     水の安全保障戦略機構:執行審議会委員
                内閣府「最先端研究開発支援プログラム:メガトン水システム」
      中心研究者
       2010年 6月   フェロー

      受 賞 歴
       1992年 日本化学会技術賞
       1994年 日本化学工学会技術賞
      2000年 日本化学工学会技術賞
      2002年 国際脱塩協会会長賞 
      2002年 日本海水学会賞    
      2003年 大河内記念生産賞
      2005年 国際脱塩協会会長賞
      2006年 日本クリエイション大賞
      2008年 高分子学会フェロー
      2009年 日本化学会フェロー

      協 会 業 務
        国際脱塩協会理事、アジア太平洋脱塩協会会長、日本脱塩協会会長

      学  会
        日本化学会、高分子学会、日本膜学会、北米膜学会、
        国際脱塩協会、日本脱塩協会、米国脱塩学会、ヨーロッパ脱塩学会


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    • 講演:『LCD材料としてのフォトポリマーの現状と課題』
              JSR株式会社 上席執行役員 研究開発部長
      熊野 厚司 氏
       
    • 講演日:平成23年4月9日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
        液晶ディスプレイ(LCD)は、薄型TVをその筆頭にして近年目覚しい発展を遂げている。
       携帯電話やデジタルカメラ、パソコンからインフォメーションディスプレイに至る情報電子機器として、我々の生活になくてはならない存在となっている。
       LCDのセル内構成材料として、様々なフォトポリマーが用いられ、高生産性、高性能化、に寄与してきた。
       さらに、大型パネル化やガラス基板の大型化に伴い、要求特性の変化やプロセスイノベーションを達成するために、様々なフォトポリマーが活躍してきた。
       本講演では、ディスプレイ製造におけるフォトポリマー利用による性能差別化、革新的製造技術を紹介し、今後の技術動向、課題について議論したい。


    • 【略歴】
       

      熊野 厚司(くまの あつし)
      学歴
      1984年 4月 九州大学大学院工学研究科博士課程 修了

      職歴
      1984年 4月 日本合成ゴム株式会社(現 : JSR株式会社) 入社
      1999年 4月 JSR株式会社 研究開発グループ 開発センター
      精密電子研究所 ディスプレイ材料開発室長
      2002年 6月  同 社  ディスプレイ研究所長
      2004年 6月 同 社  理事 ディスプレイ研究所長
      2005年 6月 同 社  執行役員 四日市研究センター・ディスプレイ研究所長
      2007年 6月 同 社  上席執行役員 研究開発部長兼筑波研究所長
      2008年 6月  同 社  同      四日市研究センター長
      2010年 6月  同 社  同      研究開発部長現在に至る


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    • 講演:『リチウムイオン電池の研究開発動向』
              日本電気株式会社 グリーンイノベーション研究所 研究部長
      中野 嘉一郎 氏
       
    • 講演日:平成23年4月9日(土)於て 東工大(大岡山)百年記念館

    • 【講演要旨】
         リチウムイオン電池は、従来の携帯電話やノートPCなどの小型民生用から、電気自動車向けの大型車載用途、さらに将来的な分散電源システムに向けた定置用バッテリー用途へ需要が拡大しており、開発対象も移り変わりつつある。このような市場の変化を受け、要求される電池特性についても、大型用途に対応すべくエネルギー密度の大幅増加と共に、これまで以上に厳しい安全性や低コスト化が重視されるようになっている。本講演では、最近の学会発表を中心とした研究事例、およびリチウムイオン電池開発に関する当社の取り組みについて紹介する。


    • 【略歴】
      中野 嘉一郎(なかの かいちろう)

      1990年 神戸大学大学院工学研究科修士課程修了、日本電気株式会社入社。
      1990年〜2004年 半導体用フォトレジスト材料、実装材料の開発に従事。
      2004年〜2008年 光インターコネクション用実装材料、モジュールの開発に従事。
      2008年〜 エネルギーデバイス用材料、デバイスの開発に従事、現在に至る。
      博士(工学)。高分子学会員。

      「受賞歴」
      07年 全国発明表彰 日本経済団体連合会会長発明賞
      08年 日本化学会 化学技術賞
      08年 市村産業賞 功績賞
      09年 大河内記念技術賞
      09年 科学技術分野の文部科学大臣表彰


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    • 講演:『放射線の人体への影響〜分子・細胞レベルから福島第一原発事故を見る』
              東京工業大学 原子炉工学研究所 准教授
      松本 義久 氏
       
    • 講演日:平成23年5月21日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
       3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波は、東日本、特に東北地方にまさしく未曾有の災害をもたらした。その中で、福島第一原発は冷却機能を失い、今なお予断を許さぬ状況が続くとともに、放射性物質を放出し、その影響が懸念されている。私は、大学時代以来約20年にわたり、放射線の生物作用と放射線に対する生体応答の機構を分子、すなわち、遺伝子、タンパク質レベルで明らかにすることを目指して研究を行ってきた。最近、テレビ局などから依頼を受け、放射線の影響について解説を行っている。放射線を侮ってはいけないが、怖がり過ぎてもいけない。少量の放射線を危惧するあまりに、大きなものを失うことがあることを目の当たりにしてきた。今回は、分子、細胞レベルから放射線影響の概要をお話しするとともに、今回の事態に伴う放射線の影響やその対応を振り返ってみたい。


    • 【略歴】
       

      松本 義久(まつもと よしひさ)
      学歴
      平成5年 東京大学理学部生物化学科卒
      平成10年 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了、博士(理学)
      職歴
      平成8年5月〜平成10年3月 日本学術振興会特別研究員
      平成10年5月〜18年11月 東京大学大学院医学系研究科助手
      平成18年12月〜19年3月 東京工業大学原子炉工学研究所助教授
      平成19年4月〜現在 東京工業大学原子炉工学研究所准教授
      受賞歴
      平成17年 日本放射線影響学会奨励賞
      平成19年 東工大挑戦的研究賞
      平成23年 原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ若手研究者表彰

      専門は分子放射線生物学。研究テーマは、放射線の作用、特にDNA二重鎖切断に対する生体防御機構の分子メカニズムの解明とがん放射線治療への応用。現在、日本放射線影響学会幹事・評議員、文部科学省学術調査官を務める。


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    • 講演:『イオン交換樹脂の歴史と用途』
              日本錬水株式会社 常務取締役
      宮田 栄二 氏
       
    • 講演日:平成23年5月21日(土)於て 東工大(大岡山)百年記念館

    • 【講演要旨】
        イオン交換作用は1845年にイギリスで初めて発見され、1930年代からは各国で合成有機イオン交換樹脂の研究・開発が進められてきた。その後の目覚しい産業の発展に伴い、イオン交換樹脂の用途は広がり、ボイラー用水処理から発電所における復水脱塩、電子産業用超純水製造、医薬品・食品の分離精製、レアメタル等の有価物回収等々、現在では様々な分野で応用される様になっている。
      5月度の研究会ではイオン交換樹脂の基礎原理、合成、用途等に関して、現在ホットな話題となっている、放射能汚染水処理への適用可否も含めてお話させて頂きます。


    • 【略歴】
      宮田栄二 ( Eiji MIYATA)
      2010年度 日本イオン交換学会 副会長
      [所属]
       日本錬水(株) 常務取締役
      [略歴]
       1976年 東京工業大学大学院理工学研究科修士課程高分子化学専攻修了
       1976年 三菱化成工業(株) 横浜総合研究所
       1987年 三菱化成工業(株) 黒崎工場
       1991年 三菱化成工業株式会社 総合研究所 第1研究部門化成品研究所
       1995年 Resindion社(イタリア・ミラノ)
       2000年 三菱化学(株) 横浜総合研究所 機能化学研究所 所長
       2001年 三菱化学(株) 機能化学品カンパニー イオン交換樹脂研究所 所長
       2004年 日本錬水(株) 経営企画室
      [主な専門分野]
       イオン交換樹脂、合成吸着剤の合成と応用

 


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    • 講演:『エネルギーの 有効利用「MERSが 拓く新エネルギーシステム」MERS:Magnetic Energy Recovery Switch』
              東京工業大学 原子炉工学研究所 教授
      嶋田 隆一 氏
       
    • 講演日:平成23年6月11日(土)於て 東工大(大岡山) 蔵前会館

    • 【講演要旨】
       原子力,核融合開発から風力,潮流発電など新エネルギーを経験してきたが,現状を打開する要素技術を作ってきた。新しい革新的電流スイッチMERSはそんな中で生まれた。MERSは磁気エネルギーを回生することによって自分でリアクタンス電圧を発生する電流スイッチであるが,これが簡単な構成であるが理解が難しい,いや,革新的であればあるほど,普及には時間がかかる。既存メーカーには市場を拓く革新技術を開発する力が無くなっている。MERSの応用先は電力エネルギーあるところすべてに革新的効果をもたらす可能性がある。この東工大発のスイッチを世に出すべく,東工大理工学振興会,TLOの方たちの知恵と日本の企業家,ヨーロッパ,インド,中国からも応援があって,今,大きく飛躍しようとしている。大学発ベンチャー会社の概念を変えようと頑張る鰍lERSTechについても,志賀雅人MERSTech 代表取締役社長,東京工業大学 原子炉研,MERS共同研究部門特任教授がこれまでとこれからを述べる予定。
      http://www.merstech.com/


    • 【略歴】
       

      しまだりゅういち
      嶋田 隆一  Ryuichi SHIMADA

      1948年1月31日生。1970年東京工業大学工学部電気工学科卒業。1975年東京工業大学大学院理工学研究科電気工学科博士課程卒業、工学博士。日本原子力研究所にて大型トカマクJT?60核融合装置の開発に従事、1984年大型トカマク開発部JT?60第一開発室電源開発グループリーダー、1986年実験運転責任者。1988年東京工業大学工学部電気電子工学科助教授、1990年教授、同年原子炉工学研究所教授、総合理工学研究科創造エネルギー専攻

      2005年より統合研究院ソリューション研究機構・地球開拓研究部門
      ソリューション研究機構とは、文科省のスーパーCOEと呼ばれるプロジェクト2005年から5年間。
      2011年4月より,卓越教授
      主として核融合炉工学、プラズマ制御の研究、大電力システム、電力工学、電力貯蔵、パワーエレクトロニクスの研究に従事。現在、新エネ、省エネなど電力技術で貢献できないかと研究している。
      電気学会論文賞(昭和51年、平成12年)、進歩賞(昭和60年)著作賞(平成15年)
      平成21年電気学会電力エネルギー部門誌優秀論文賞




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    • 講演:『原発汚水処理に関する新規事業研究会からの提案』
              新規事業研究会会長
      東京工業大学大学院 有機・高分子物質専攻 教授
      渡辺 順次 氏
       
    • 講演日:平成23年6月11日(土)於て 東工大(大岡山)蔵前会館


    • 【略歴】

                学歴
      昭和42年3月  愛媛県立今治西高校 卒業
      昭和42年4月  東京工業大学 理工学部 入学
      昭和46年3月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 卒業    
      昭和46年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 修士課程
               高分子工学科専攻 入学
      昭和48年3月  同 修了
      昭和48年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 博士課程
               高分子工学科専攻 入学
      昭和51年3月  同 修了

                履歴
      昭和51年4月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 助手
      昭和56年7月ー57年10月 米国デューク大学博士研究員
      昭和59年8月ー59年10月 同上Visiting Associate
      昭和62年10月 東京工業大学 工学部 高分子工学科 助教授
      平成4年10月ー平成7年4月 京都大学 化学研究所 客員助教授
                     および教授併任 
      平成5年10月  東京工業大学 工学部 高分子工学科 教授
      平成14年4月  東京工業大学 大学院 理工学研究科 
      有機・高分子物質専攻 教授 (改組による)
               現在に至る

      専門分野
       1 生体高分子の構造・物性
          生体高分子のコンフォメーション
          生体高分子の相転移挙動
          生体組織構造の解明とその機能
       
       2 液晶高分子の構造・物性
          液晶構造に及ぼす高分子効果
          高分子特性を利用した強誘電,反強誘電液晶の分子設計  
          液晶場を利用した光学材料及び構造材料の設計
          液晶の対称性の制御と機能化


  • Ref.No.110723   元へ戻る

    『学術創成研究「生物ナノ構造」公開シンポジューム』
       東京工業大学 渡辺・戸木田研究室
       協賛:新規事業研究会、一二三会、渡辺・戸木田研OB会

    平成23年7月23日(土)於て 東工大(大岡山) 蔵前会館

    9:40- 9:45 渡辺順次(東工大)  開会挨拶
    9:45-10:10 長田健介(東大)
    環状超らせん型DNAのフォールディングと遺伝子治療への展開
    10:10-10:35 坂尻浩一(東工大)
    パックマン型分子が形成するカラム集合体の安定性
    10:35-11:00 伊藤大道(愛媛大学)
    ブロック共重合体を用いた分散重合による機能性高分子微粒子の合成
    11:00-11:25 石毛亮平(東工大)
    主鎖型液晶性高分子を基盤とした液晶エラストマーの温度変化による可逆な伸縮挙動
    11:25-11:50 姜聲敏 (東工大)
    バナナ型液晶が形成するカラムナー、キュービック相

    11:50-13:00 昼食:

    13:00-13:30 戸木田雅利(東工大)
    主鎖型液晶性高分子で明らかにしてきた液晶のガラス転移の特徴
    13:30-14:00 曽根正人(東工大)
    超臨界二酸化炭素流体を用いたナノ金属配線技術の開発
    14:00-14:30 大越研人(千歳科技大)
    棒状らせん高分子の形成するスメクチック液晶

    14:30-14:40 休憩

    14:40-15:10 小西玄一(東工大)
    新しい電子移動パラダイムに基づくπ共役系光触媒
    15:10-15:40 川内進 (東工大)
    ベクトラ(極性芳香族ポリエステル)の大きな非線形光学効果:量子化学計算によるアプローチ
    15:40-16:10 金子達雄(北陸先端大)
    超巨大高分子が形成する巨大液晶ドメインのダイナミズム

    16:10-16:20 休憩

    16:20-17:00 渡辺順次(東工大)
    キラルSc高分子フィルム表面の美しい分極アンジュレーション構造
    17:00-18:00 渡辺・戸木田研の学生、OBによるポスター発表

    18:00〜 懇親会



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    • 講演:『ナノ光ファイバーによる量子フォトニクス情報通信技術の開発』
              電気通信大学大学院情報理工学研究科先進理工学専攻 教授
      電気通信大学フォトニックイノベーション研究センター、センター長
      白田 耕藏 氏
       
    • 講演日:平成23年9月17日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
       現代社会の基本インフラ技術の一つはレーザー光による光情報通信技術である。レーザー光を様々に操作する技術がフォトニクスであり、光ファイバー技術の発展とあいまって現代の情報通信技術を支えている。更に最近では物質や光の量子力学的特徴をあらわに取り入れて利用する新しいタイプのフォトニクス、量子フォトニクスが次世代の技術として発展している。我々は、量子フォトニクスの発展には光ファイバー技術との結合が不可欠であるとの立場から「ナノ光ファイバーによる量子フォトニクス」技術を開発している。本講演では、まずシリカファイバーベースのナノ光ファイバー技術について紹介し、更に実用技術として発展する際のキー要素としてフォトニクスポリマー技術との融合的発展の方向について議論する。


    • 【略歴】
       

      白田 耕藏(はくた こうぞう)

      【略歴】
      1965年3月  開成高等学校卒業
      1969年5月  東京大学工学部物理工学科卒業
      1971年3月  東京大学大学院理学系研究科相関理化学専門課程修士課程修了
      1974年3月   同 博士課程修了
      1974年5月-1983年5月
       (財)相模中央化学研究所 研究員
      1983年5月-1988年8月
       電気通信大学新形レーザー研究センター助教授
      1988年8月-1989年10月
       トロント大学(カナダ)物理学科客員教授
      1989年10月-2010年3月
       電気通信大学電気通信学部量子・物質工学科 助教授、教授
      2010年4月-現在
       電気通信大学大学院情報理工学研究科先進理工学専攻 教授
      2010年10月-現在
       電気通信大学フォトニックイノベーション研究センター、センター長併任

      【専門分野】
       コヒーレント光科学、量子光学、レーザー分光、非線形光学

      【研究プロジェクト】
      1997年10月-2003年3月
       JST/CREST「量子固体と非線形光学:新しい光学過程の開拓」研究代表
      2003年4月-2008年3月
       文科省21世紀COEプログラム「コヒーレント光科学の展開」拠点リーダー
      2010年1月-現在
      JST戦略的イノベーション創出推進事業「ポリマーナノ光ファイバーによる量子フォトニクス情報通信技術の開発」プロジェクトマネージャー、研究リーダー




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    • 講演:『ナノめっきによる機能性材料の創製』
              福井大学産学官連携本部 教授
      (福井大学工学部材料開発工学科)
      米沢 晋 氏
       
    • 講演日:平成23年9月17日(土)於て 東工大(大岡山)百年記念館

    • 【講演要旨】
       「ナノめっき」をキーワードにしてからほぼ10年。めっき用電極あるいは基材表面状態制御を盛り込んだ精密なめっき技術を開発し、機能性材料を作製してきました。PTFE微粒子の複合めっき技術開発を端緒に、その技術を用いた新しいニッケル水素電池電極材料および新規燃料電池材料を創出してきた様子について研究データを示しながら説明いたします。また、原子レベルでの表面状態に関する考察を進めながら構築してきた「新しいナノめっき技術」について、ナノ炭素材料や難めっき樹脂材料へ適用した例を示しながら説明いたします。


    • 【略歴】

      米沢 晋 (よねざわ すすむ)
      【学 歴】
      昭和63年3月 京都大学工学部工業化学科卒業
      平成2年 3月 京都大学大学院工学研究科修士課程工業化学専攻修了
      平成2年 4月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程工業化学専攻進学
      平成4年 8月 同上中退
      平成8年 1月 博士(工学)の学位を授く (京都大学)

      【職 歴】
      平成4年 4月 日本学術振興会特別研究員
      平成4年 9月 福井大学助手(工学部)
      平成8年 9月 文部省在外研究員(仏・メーン大学)(平成9年6月まで)
      平成15年2月 福井大学助教授(工学部)
      平成16年4月 福井大学大学院工学研究科博士前期課程授業担当
      平成19年4月 福井大学大学院工学研究科准教授
      平成22年4月 福井大学産学官連携本部教授
      現在に至る

      【賞 罰】
      な し

      【学会並びに社会における活動】
      日本化学会正会員
      電気化学会正会員
      フッ素化学研究会正会員
      セラミックス協会個人会員
      日本学術振興会第155フッ素化学研究委員会書記



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    • 講演:『人災だった福島第一原発事故』
              東京工業大学原子炉工学研究所 准教授
      飯尾 俊二 氏
       
    • 講演日:平成23年10月8日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館

    • 【講演要旨】
        東日本大震災に伴って福島第一原子力発電所において重大な事故が起こり、セシウム等の放射性物質が広範に飛散し甚大な被害が生じている。東電からは未だに十分な情報の開示がないが、次のような点で福島第一原発事故は人災だったことが否定できない。
      1) 長期間にわたる全交流電源喪失は考慮する必要はないとした原子力安全委員会が定めた原発の安全設計審査指針
      2) 敷地が想定津波最高水位より高かったため、津波対策が皆無。
       また、非常用ディーゼル電源が海側かつ耐震クラスBのタービン建屋に設置されている問題を認識しながらも放置。
      3) ベント管にフィルターを付けていなかったため、大熊町住民の待避確認を待ってベント作業が遅れた上に、多量の放射性物質を放出。ヨーロッパの原発と同様なフィルター付きなら、1/100以下に抑制できた。
      以上のような事故の背景とメルトダウンに至った経過を、公開情報を整理して解説する。
       政府の事故調査委員会とは独立な民間のボランタリー活動として事故調査レポートを刊行しようとしているFUKUSHIMAプロジェクトhttp://f-pj.org/についても紹介する。


    • 【略歴】
       

      飯尾 俊二

      1978年3月 東京大学理学部物理学科卒業
      1980年3月 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
      1983年3月 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
      1983年4月 日本原子力研究所 研究員
      1992年4月 日本原子力研究所 副主任研究員
      1995年3月 東京工業大学原子炉工学研究所 助教授
      2007年4月 東京工業大学原子炉工学研究所 准教授(職名変更)




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    • 講演:『人口減少とエネルギー需給』
              早稲田大学 大学院政治学研究科ジャーナリズムコース客員教授
      東京工業大学 学長特別補佐
      ukushimaプロジェクト 編集部会長
      西村 吉雄 氏
       
    • 講演日:平成23年10月8日(土)於て 東工大(大岡山)百年記念館

    • 【講演要旨】
       日本はこれから人口が急減する。中長期的なエネルギー需給に心配はない。原発がなくても、再生可能エネルギーを無理に急がなくても、なんとかなる。短期的にはピーク電力への配慮は多少は要る。しかし今夏、原子力からの電力供給は1割程度だった(動いていた原子炉は2割ほど)。それでも乗り切れた。
      原子力発電推進の本当の目的は、最初から現在まで一貫して、核兵器製造力の保持・発展である。政治的配慮から、この目的が表立たないよう、エネルギー源としての原発を前面に出してきた。最近、その本来の目的を、公然と議論する動きがある。
      原発には、過去も現在も未来も、経済合理性はない。


    • 【略歴】

      西村 吉雄

      1942年生まれ。1965年、東京工業大学電子工学科卒。1967〜68年、仏モンペリエ大学固体電子工学研究センター留学。1971年、東京工業大学大学院博士課程修了、工学博士を取得。この間、マイクロ波半導体デバイスや半導体レーザーの研究に従事。1971年、日経マグロウヒル社(現在の日経BP社)入社。1979〜1990年、『日経エレクトロニクス』編集長を務め、その後は日経BP社の発行人、調査・開発局長、編集委員などを歴任。2002年2月、東京大学大学院工学系研究科教授に就く。2003年3月、東京大学を定年退官、国立大学法人東京工業大学監事、大阪大学特任教授、九州工業大学特任教授、放送大学客員教授、早稲田大学客員教授、日経BP社顧問などを歴任。

      主な著作:『硅石器時代の技術と文明』(日本経済新聞社、1985年)、『半導体産業のゆくえ』(丸善、1995年)、『テクノロジー・ワンスモア』(丸善、1997年)、『電子工業50年史』(日本電子機械工業会、1998年)、『産学連携──「中央研究所の時代」を超えて』(日経BP社、2003年)、『情報産業論(改訂版)』(放送大学教育振興会、2004年)、訳書に『中央研究所の時代の終焉』(日経BP社、1998年)など。


  • Ref.No.111112-1   元へ戻る

    • 講演:『溶融塩電解と炭素材料のフッ素化』
              ダイキン工業株式会社
             化学研究開発センター 基盤技術G
             磯貝 智弘 氏
       
    • 講演日:平成23年11月12日(土)於て 東工大(大岡山) 蔵前会館1Fロイアルブルーホール

    • 【講演要旨】
        フッ素化合物は、機能性材料として幅広く利用されており、その製造にはフッ素を用いる直接フッ素化プロセスは不可欠である。フッ素は、専ら炭素電極を用いた溶融塩電解により製造されている。しかしながら、高電流密度で電解すると炭素電極の表面に共有結合性C-F結合を有する低表面エネルギー性の被膜が生成し、溶融塩に電極表面が濡れなくなるため電解の継続が不可能となる問題(陽極効果)が発生する。一方、半イオン結合性のC-F結合を有する被膜が炭素電極表面上に生成すると、陽極効果が効果的に抑制される事が知られている。そこで本講演では、陽極効果抑制の観点から、金属フッ化物含有炭素電極とその前電解処理の効果について論じる。また、炭素材料の直接フッ素化においても、炭素材料やフッ素化反応条件の選択によって、様々な性質をもつ材料を創成可能である事を紹介する。


    • 【略歴】
       

      磯貝 智弘

      1984年3月 同志社大学工学部 工業化学科 卒業
      1986年3月 同志社大学大学院 工学研究科 博士課程前期課程 修了
      1986年4月 ダイキン工業株式会社入社 化学事業部 第二研究開発部
      2003年6月 ダイキン工業株式会社 化学事業部 プロセス革新部
      2008年7月 ダイキン工業株式会社 化学事業部 プロセス技術部(名称変更)
      2009年4月 同志社大学大学院 工学研究科 博士課程後期課程 入学
      2011年1月 ダイキン工業株式会社 化学研究開発センター 基盤技術G
      2011年3月 同志社大学大学院 工学研究科 博士課程修了、博士(工学)




  • Ref.No.111112-2   元へ戻る

    • 講演:『福島市周辺の現状 /最近の研究成果』
              福島大学 共生システム理工学類 教授(産業システム工学専攻)
             金澤 等 氏
       
    • 講演日:平成23年11月12日(土)於て 東工大(大岡山)蔵前会館1Fロイアルブルーホール

    • 【講演要旨】
        福島大学は、東京電力福島第一原子力発電所から60kmの位置にあり、比較的高濃度の放射線物質に汚染された状態にある。本学の教官有志は、2011年3月19日に放射線測定グループを結成して、3月26日には公共機関からサーベイメータ(アロカ製)を数台入手して、許可される範囲で危険な地域まで入り、地面に立ち、手作業で測定を行ってマップを作成しました。一般的な広範囲の分布マップは飛行機で測定した値が多いです。そのデータや、大学施設の除染作業、放射線測定や住民からの相談、講演の際の質問などでわかった事などを述べます。さらに、実際にキャンパスで採取した放射性物質を含む土壌や枯葉を用いて行った実験の中間報告、今後望まれる技術などを話します。
       なお、短時間で、私の研究「接着剤で付きにくい高分子材料の接着性の改良」について、最新の成果を紹介します。「ポリカーボネート、炭素繊維強化のFRP、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、フッ素樹脂などの接着を可能にするか、これまで以上に強く接着させること、及び、水性塗料で塗装可能とすること」と、「接着剤を使わないで、プラスチックやシリコンゴムを接着する技術」です。


    • 【略歴】

      金澤 等

      昭和52年 3月 東京工業大学理工学研究科博士課程高分子工学専攻修了(学位・工学博士取得)

      東京工芸大学, 大妻女子大学非常勤講師を経て, 福島大学教育学部 助手, 同 助教授, 同 教授 を経て現職
      郡山女子大、山形大学大学院博士課程、宮城教育大などの非常勤講師の兼務歴あり。

      所属学会: 日本化学会、家政学会、高分子学会、接着学会(現在、東北支部長)、繊維学会、ナノ材料学会

      専門(得意な領域): 高分子化学, 繊維科学, 染色化学、洗剤
      研究領域 高分子材料の改質・機能化, 固相重合, ポリペプチド合成, 吸着材料の開発

      受賞歴:1992年4月、アミノ酸N-カルボキシ無水物の固相重合の研究に対して、「国際高分子物理学会優秀研究賞(1992年4月、英国開催Polymer Physics; a Conference to Mark the Retirement of Andrew Keller, Bristol
      1992年11月 工業技術研究賞、手島工業教育資金団、「α?アミノ酸無水物の結晶構造と反応性の関係」

      趣味・特技 絵, 写真, 空手
      最近:プラスチックを吸水性にする技術の特許をとり、さらに、これまで接着できなかったプラスチックやシリコンゴムの接着を可能とした技術の発表で、世界の学会に出かる事が増えています。

 

 


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2012年1月6日 最終更新

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